今さら聞けない?不動産賃貸業界におけるDX化とは?

新聞やニュースでよく見かける「DX」というワード。なんとなく雰囲気はわかるけど、IT系は苦手でよく理解してない、という不動産業界人の方も意外と多いかと思います。DXとは(デジタル・トランスフォーメーション)の略語で、「トランス」の部分を「X」と表記させるあたりが覚えにくさの原因だったりするのではないかと私的には感じています。

不動産業界は昔からITの遅れを指摘されてきた歴史があり、コロナ過でやっと非対面接客IT重説などのサービスが導入され始めました。しかしながら不動産業界においては、エクセル・ワードがやっと使えるスタッフしかいないといった状況の企業が非常に多く、フランチャイズ店舗でPC操作に明るい若いスタッフが何名もいるような企業と二極化しているように感じます。

とはいっても、実際のところ大手管理会社は既にオンライン申し込みのシステムを仲介業者に対して利用させる体制をとっており、いつまでも「苦手だから」で回避できる状況ではなくなってきました。

そこで今回は賃貸業界の内側から見た、DX化対応の現実について考えてみたいと思います。

情報のデジタル化

賃貸業界での主な情報といえば、まずは物件情報です。20年前だったら紙のカルテで管理していたかもしれませんが、さすがに今ではデータ化されている会社が大多数ではないかと思います。データベースソフトを使っているのか、エクセルなのか、保存はクラウドなのか、サーバー機なのか、または個々のPCのハードディスクか、など取扱いに違いはあると思います。

次に個人データや連絡先情報です。契約者の情報やオーナー情報などの個人情報をはじめ、取引業者など何かしらの名簿ソフトを使用している会社が多いのではないでしょうか。

賃貸管理会社であれば、何かしらの基幹システムを使用しているでしょうから、様々なデータが連携していますが、仲介専門業者の場合はバラバラのファイルでの保管になっているかもしれません。

VR・ARの採用(オンライン内見)

VRは、360度パノラマで撮影された空間画像を、専用のゴーグルなどで見ることによって、その場所にいるような感覚を体験できるシステムです。空室を場所ごとに撮影して、内見を疑似体験することができます。

一方ARとはその場所に現実には無いものを実際の映像に重ねて見せる仕組みで、本当は何もない空室なのに家具や家電、インテリアなどを配置して、生活をイメージさせることができる技術です。

両方とも不動産と親和性が高く、導入しているデベロッパーなども増えています。賃貸業界でも大手ポータルサイトで360度画像を登録することができるようになりました。そのうちAR技術も導入されるかもしれませんね。

オンライン内見については、何が何でも推奨したいかというと、そうとも限りません。確かに現地へ行かずに決めることができるお客様であれば、手間がかからず非常に良いことですが、どうしても「中を実際に見ないと決められない」という方も多くいらっしゃいます。最近はGoogleのストリートビューの精度も高く、周辺環境なども疑似散策することができますが、それでも、どうしてもその場の「空気感」までは感じることができません。「この部屋はフィーリングが合う」「この部屋何か嫌な感じがする」という感覚は、画面だけではわかりずらいものです。

IoTサービス

IoTとは、インターネットを使用して遠隔操作をしたり、機器から情報を得たりすることを言い、その技術を用いて賃貸住宅にマッチする製品やサービスを検証してみたいと思います。

住居に関するIoT機器というと、頭に浮かぶのは家電製品です。帰宅前にエアコンのスイッチを入れておいたり、電気を付けたりというものがすぐに浮かびますが、賃貸住宅の付加価値としてはそれほどインパクトが無いように感じます。

最近では、家電製品を利用した「見守りサービス」が徐々に普及してきています。先日、当社管理物件に、高齢情勢の一人暮らしの方(正確には息子さん)から入居希望の申し込みがありました。契約者は息子さんなので問題ありませんが、近所にお住まいといえどもオーナー様としては何かあった時のことがどうしても気になります。そこで、なるべく費用をかけずに導入できる「見守り家電」が無いかと探したところ、見守り電球なるものを見つけ、これを取り付けることでオーナーにも承諾して頂きました。形状は一般的な電球とほとんど同じですが、内部に携帯電話と同じSIMカードが内蔵されていて、電球(今回はトイレに設置)が24時間点灯したまま、あるいは24時間消えたままの状態が続くと、登録した身内のメールアドレスに通知が届く、という仕組みです。簡易的ではありますが、有ると無いのでは安心感が違います。

仲介業務支援

賃貸仲介の支援としては、空室情報の発信から申込受付までをWEB上で完結できるサービスが浸透してきました。加盟している管理会社は、それぞれ同じプラットフォームに空室情報を登録、公開します。仲介業者はその画面を見て空室状態をチェックすることができ、申込もPC画面やお客様のスマートフォン画面から行うことが出来ます。入力された情報は身分証明書の画像と共に家賃保証会社へ送られ、そのまま入居審査が行われます。

マッチングサービス

マッチングサービスとは、探している物件の条件を登録しておくと、該当する物件が公開された時にメールなどで通知してくれるサービスです。大手ポータルサイトなどでは以前から実装されている機能ですが、更に利用促進することで物件紹介の労力がグッと軽減されるかと思います。当社でも、売買専門サイトでこのシステムを独自に採用しています。

ITによる業務効率化は、次々と新しい技術・サービスが開発されています。我々もアンテナを高くして、有益なものは積極的に試していきたいと思います。

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