「洋子の話だと、肺炎らいしけど、詳しい様子は判らないから、とりあえず家で待っていて」

「ここ数日は、この冬一番の寒さだったけど、新型コロナとかではないわよね」

「わからないな、詳しい話は医者に聞かないと、とにかく俺は大学病院にいくから」

「気を付けてね」

「ああ、後で電話する」

伸一は、注意しながら大学病院へ運転を急いだ。

大学病院の救急外来に行くと、長女の洋子が待合室の長椅子に座っていた。

「洋子、母さんは」

「血中酸素濃度が低すぎるとかで、今はICUに入っているけど、先生から話があるって」

担当医の話だと、ウイルス性ではなく、風邪からの肺炎らしいけど、80歳という年齢を考えると、普通の肺炎でも命にかかわるので、しばらくは入院して投薬と酸素吸入等をおこなうとのことだった。

入院して3日程経った頃に、母親が回復してICUから普通病棟に移ったというので、見舞いに病室に行くと、ちょうど洋子も見舞いにきていた。
帰り際に、洋子から話があると言うので、二人で談話室に行った。

第1章 平凡な日々の終わり