家族会議当日

長女の洋子が自分の運転する車で、母親を自宅に連れて来た。

「お兄さん、こんにちは、お邪魔します」

「洋子、お邪魔しますはないだろ、ここは私の家だ」

「今までは、お母さんが住んでいたから、『ただいま』だったけど、今は伸一兄さんと理沙さんが住んでいるから、私は『お邪魔します』でしょ」


「お母様、お帰りなさい。洋子さんもいらっしゃい。幸次さんも、まもなく着くと連絡がありましたから、居間で待っていて下さい」

妻の理沙が、洋子に目配せしながら居間に案内して、お茶を出した。

しばらくすると、次男の幸次も帰って来た。


家族会議を招集したてまえ、長男の自分が仕切ることにした。

「皆、忙しいのに集まってもらって悪かったね」
「父さんが他界してから5年になるけど、あの時は突然だったので相続に関して何も準備が出来ていなくて、結局、全て母さんに相続してもらったけど、あの時に税理士さんも言っていたけど、次の相続に関しては準備が必要だと思うので、一度、家族会議をしておこうと思って集まってもらったのだけど、その話をして良いかな」

第2章 長男 清水 伸一 編