今回は、早めに浜松に来て、母親と待ち合わせて昼飯に鰻でもご馳走してもらおうかとも思ったが、今、母親は妹の家にいるそうだから、母親一人では浜松駅周辺まで出てくることは出来ないと思ってあきらめた。
母親に鰻をご馳走になることができれば、新幹線代ぐらいのこずかいは貰えたのに、今回は残念だと思った。

久しぶりの実家だが、今日は母も兄妹も兄嫁も温かい感じで迎えてくれた。
早速、兄の司会で家族会議が始まったが、母親のこれからの世話の話ではなく、相続の話がいきなり始まった。

父親が他界した5年前の相続では、浜松市内の土地付きのアパートを貰えると喜んだのだけど、相続税が高すぎて支払えないし、収支管理や毎年の確定申告の話を聞いて、面倒だと思った。

妹の洋子は、子育てで現金の余裕が無いから、現金を相続したいと言ったが、俺も現金なら相続したかった。
しかし、不動産を現金化する余裕もなく、一旦、母親が全て相続することで纏まったので、後は長男の伸一兄さんが色々と考えてくれると思っていた。

今回、伸一兄さんの話を聞いていると、5年前と何も変わっていないと判ってきた。
5年前は、母親が全て相続することにしが、父親の残した預貯金や保険金と配偶者特別控除を最大限に使っても相続税が足らなくて、母親自身の預金も取り崩して相続税を払ったと聞いているから、アパート1棟でもかなりの相続税になると感じていた。

「確かに、あの時は、税理士さんからは、資産総額が多いので税務調査の対象になりやすいので、確実に資産を洗い出すように言われて、幸次兄さんが離婚した時に慰謝料を父さんから借りて返してないことが発覚して慌てたわよね」

洋子が、終わったと思っている話を言い出した。

第2章 次男 清水 幸次 編