
相続の事前打ち合わせは、洋子の提案で思いもよらぬ方向に行ってしまったが、さすがに全ての不動産を相続して、借金までして代償分割金を二人に支払うのは、辛いと感じた。
それに、万が一、私自身に何かあった時は、今度は、私の資産が不動産だけだと、妻の理沙も娘の沙織も相続税の支払いに困るだろうと思った。
父親の相続の経験で、相続資産の半分程度は相続税の支払いの為に、預貯金などの流動性の高い資産にしておくのが良いと考えだしていた。
とにかく、明日にでも父親の代からお世話になっている不動産会社の社長に相談することにした。
翌日、アポイントメントを取って、不動産会社の社長に相談したところ、早速、解決策を4案提示してくれた。
やはり、不動産会社は、このような話には慣れているのだろうと感じた。
-案1-
管理会社をつくり、3つのアパートの収益を会社に集約、会社の利益を母親、長男、次男、長女にも還元する。
母親の死去後は長男が相続し、同様に配分を続ける。
-案2-
アパート売却し、実家以外資産のすべてを現金化。全員均等(長男自宅分の価値は差し引く)にわける準備をする。(相続発生時に3人共有にし、すぐ売却でもよい)
第2章 長女 佐藤 洋子 編