
家族会議は、最初から伸一兄さんが相続の話を始めた。
父さんが他界してから5年経ったが、我が家は子供達の教育費で相続税の用意など出来るはずもなく、やはり、幸次兄さんも何も用意は出来てなかった。
5年前の問題が、今日まで棚上げされて来ただけだった。
伸一兄さんが、長男として焦っているのも理解はできるけど、我が家も子供達の教育費で出費も多く、母親まで面倒を看ることになって、現金の相続金は欲しいけど、不動産を貰っても相続税は払えないので、どのような手を使っても現金で相続金を貰うつもりだった。
幸次兄さんは、子供もいないバツイチ独身男なので、相続しても自分が使うだけで、清水家としては無駄金としか思えなかった。
「確かに、あの時は、税理士さんからは、資産総額が多いので税務調査の対象になりやすいので、確実に資産を洗い出すように言われて、幸次兄さんが離婚した時に慰謝料を父さんから借りて返してないことが発覚して慌てたわよね」
幸次兄さんにも、嫌味を言っておいた。
「なんだよ、そんなこと今更言うなよ。洋子だって、今は母さんと一緒に住んでいるから、母さんから金など貰ったりしてないのかよ」
はあ、何を言ってくれるやら、冗談じゃないと思い言い返そうと思ったら、伸一兄さんに止められて、母さんの考えを聞くことになった。
第2章 長女 佐藤 洋子 編